2014年5月28日水曜日

心得 第四十九 「亡兄の家督を預かるときは」

後見人の心得」の一項で、「譲り渡しはきれいさっぱりと」へと続くものである。
《戦国のころ、合戦に臨んだ武士が見事な働きをして討死を遂げ、あるいは重傷を受けて傷の手当てが及ばず落命したといった場合、主君、大将といった方々は、その者をとりわけ哀れと思召され、男の子がいれば、まだ一歳であっても家督を継がせて下さるものである。しかしながら、その子供がまだ幼少で戦場のお役が勤まらないというときは、たとえば死んだ親の弟などで浪人している者でもいれば、当分の間はその者に兄の遺産を預けられ、子供が幼少の間は後見をするようにと、主君から仰せ付けられることがある。これを、その頃には陣代、現在では番代と呼んでいる。
この神代、番代を勤めるにあたっての武士の作法というものが昔から伝わっているのである。それは次のようなことだ
先ず、右のような事情で兄の家督を相続することになったならば、その子供は自分にとって甥ではあるが、真実の我が子として愛情をもって育てることは当然である。
次に兄の家督を引き継ぐにあたっては、武具、馬具の類はいうまでもなく、そのほかさまざまな家財類をすべて一か所に集め、一族のうちの誰かを立ち合わせてそれを点検し、すべてを帳面に記載することが大切なのだ。》



甥の後見人になる場合の心得が説かれている。
家督の相続、財産の管理は武家にとって一大事である。また主君にとってもその兵力、権威を維持する上で重大な関心事であり、「御恩と奉公」という封建制度の基盤を成すものである。
貞永式目に始まり、武家諸法度に至るまで、その仕来りが細かく定められていた。
間違いが起こらないように、いわゆる事務的に処理することを勧めている。
このように詳細に説かれているということは、こうした問題が多く見られたということである。
封建体制は、武士の道徳で維持されていた。

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