2015年8月7日金曜日

心得 第九十八 「先ず避難の場所を確かめよ」

お供の心得の一項である。
《奉公を勤める武士が、主君のご旅行のお供をして、その日の宿泊地へ到着した時には、主君のご宿舎のどちらの方向には、どのような広い場所があり、そこへ行く道筋はどうか・・・といったことについて、日が暮れる前に確認しておき、よく心に止めておくことが大切である。なぜならば、夜中、急の出火などがあって風向きが悪く、ご宿舎が危ないというので、主君がその場を立ち退かれるような場合、先に立ってご案内するための用意である。
また、日が暮れてから、土地の人に尋ねて近所に見える山や林、神社仏閣などを目印にして東西の方向を知り、覚えておくというのも、これまた夜中に何かのことが起こり、主君のお尋ねがあった時には、早速申し上げられるようにとの心掛けである。
また、徒歩で主君のお供をする時には、上り坂の時は先を行き、下り坂の時は後から行くものだが、こうしたことは小さいながらも奉公する武士の心がけの一つである。右のような諸点をヒントとして、いろいろと思案、工夫を重ね、どうせご奉公をするからには、何か一つでも主君に対し奉ってお役にたてることがなかろうかと、朝に晩に心掛けて努力を重ねるのが武士本来の心構えである。》


近世武家社会では、生活は自然に密着したものであった。自然に依存し、天変地異に左右された。陰陽五行説などに見えるように物事の吉凶は、方位・方角と関連付けられていた。
したがって、旅行の御供をする時には、宿舎の配置、方角を確認するなど用心し、火急の事態に備え、用意を怠らない様に心がけることである。そうした心掛けの努力を重ねることで心構えができるという。
ここで考えてみたいことは次のことである。
《徒歩で主君のお供をする時には、上り坂の時は先を行き、下り坂の時は後から行くものだが、こうしたことは小さいながらも奉公する武士の心がけの一つである。右のような諸点をヒントとして、いろいろと思案、工夫を重ね・・・》とある。
どうして「上り坂の時は先を行き、下り坂の時は後から行く」ことが定式となったのか。その理由は何であろうか?
上方からの襲来者・落下物を身を挺して防ぐためであろうか?

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